何よりも、まず演劇を「劇場」の外に引きずり出すこと。そのことによって、虚構と日常の現実とのあいだの国境線を取り除き、「何が現実で、何が虚構かわからぬ」歴史の記述と同じ高みに演劇を置くこと、が必要であった。 寺山修司 『迷路と死海 わが演劇』
このたび、寺山修司記念館開館20年を記念し、特別企画展「ドキュメント 〜幻想市街劇『田園に死す』三沢篇〜」を開催いたします。
今年8月6日に、1日だけ上演され、全国から観客を集めた「幻想市街劇『田園に死す』三沢篇」当日は、虚構と現実の交錯したテラヤマ・ワールドを三沢市内各所に出現させました。観客、演者、スタッフ、誰一人として全てを見ることはできない同時多発75演目。市街劇の演出上、開催当日にチケットと引き換えに渡された地図を元に、観客は一人ずつ自分の出会う劇を選びます。観客の数だけ、この演劇は、違うものになっています。これまで上演された市街劇の中でも、最大規模で開催されました。残された舞台美術、大道具、小道具、記録写真、映像などにより、その全貌に迫ります。
寺山修司は、69年、渋谷に天井棧敷の専用劇場を作りますが、「建物としての《劇場》は演劇にとっての牢獄である。」と語り、その翌年には、市街劇の第1作目『人力飛行機ソロモン』に取り組みました。
1970年代に寺山修司が取り組んだ独自の演劇手法「市街劇」。世界演劇史上極めて実験的と高く評価されました。当時は、学生運動が激化、若者と権力体制という強烈な対立構造が存在していました。そのなかで、市街劇は寺山が謳った「政治を通さない革命」そのものだったのです。
『人力飛行機ソロモン』は、1971年にフランスのナンシーとオランダのアーヘムの公演で成功を収め、30時間市街劇『ノック』(1975)では、さらに、日常に深く切り込んでいくことになります。晩年、寺山は、また市街劇をやりたいと話していたと言います。
没後は、10年に1度のペースで上演されてきた市街劇。演劇の枠を超えた変革を目指した寺山の企みは、まだ続いているのです。
街は、今すぐ劇場になりたがっている。
さあ、台本を捨てよ、街へ出よう!
●会期=2017年10月19日(木)〜2018年4月1日(日)
●開館時間=9:00〜17:00(入館は16:30まで)
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